第2章-1.十干とは空間エネルギーを表す10の記号
古代の人々は、夜空を見上げることで宇宙のリズムを感じ取り、自然界の法則を読み解いてきました。
古代の人々が長年の天体観測から導き出した『五行』と『陰陽』のエネルギーを10個の記号に象徴させたものが『十干(じっかん)』です。
これは単なる記号ではなく、宇宙の構造を人間の在り方を結びつける暗号とも言えるものです。
方角、才能、資質の傾向までも内包するこの十干を読み解けば、自分の本質や運の流れをつかむヒントが得られるでしょう。
ここでは、十干がどのように生まれたのか?その背景や構造、性質、そして覚え方のコツまで一つひとつ紐解いていきます。
十干はどうやって誕生したのか?

天空の観測から生まれた十干
十干とは、古代の人々が天空の観測と自然界の循環から導き出した『空間エネルギーの象徴』です。
これらは単なる文字ではなく、宇宙の構造と人間の性質を結びつけるコードとして、干支暦の中核をなします。
甲(こうぼく)=陽
乙(おつぼく)=陰
丙火(へいか)=陽
丁火(ていか)=陰
土性
戊(ぼど)=陽
己(きど)=陰
庚(こうきん)=陽
辛(しんきん)=陰
壬(じんすい)=陽
癸(きすい)=陰
五惑星の動きと五行の結びつき
古代の人々は、夜空に浮かぶ星々を日々観察する中で、特定の五つの惑星(木星・火星・土星・金星・水星)に着目しました。
これらは当時、肉眼で観測でいる『あちこちに動く星=迷惑な星=惑星(諸説あり)』として特別視され、それぞれが五行の木・火・土・金・水に関連づけられたのです。
これらの惑星の動きが、地上の季節や自然現象と呼応していると考えられたことから、『宇宙のエネルギーは五つに分けられ、それが人間や社会にも作用している』という思想が生まれました。
これが五行論のはじまりであり、そこに陰陽の思想が加わることで、十個の性質を持つ『十干』という体系が構築されたのです。
特に注目された土星
五つの惑星の中でも、特に注目された星が『土星』で、土星は太陽の周囲を約十二年で一周するため、十二支と深く関連付けられています。
一方、十干のベースとなる木火土金水の五惑星は、それぞれ独自の動きを持ち、他の星々と異なる軌道を描いていました。
こうした惑星の運行パターンと周期性が、宇宙と地上をつなぐリズムとして認識されていったのです。
たとえば、木星が東の空に現れる周期や火星が逆行する現象などは、農作や国家の行事、個人の運勢を読む指標として利用されました。
その結果、人間の『本能(五本能)』や『方角』『徳(五徳)』などが十干で象徴されるようになったのです。
十干は宇宙と人間をつなぐ空間言語
このように、十干はただの記号ではなく、天体の動きと地上の自然の一致に基づいて構築された宇宙と人間とをつなぐ空間言語と言えるでしょう。
空間の質を読み解くためのカギであり、私たちの本質や運の流れを読み解くコンパスにもなり得ます。
干支を深く理解するには、まずこの『天体観測』と『五行論』の背景を知ることが大切になります。
木火土金水×陰陽で生まれる10種類の性質

十干は木火土金水×陰陽の組み合わせ
十干とは、木火土金水という五行の基本元素を基に、陰と陽というエネルギーの性質を組み合わせた10種類の記号です。
この10種類の干(かん)は、それぞれ異なる個性・特性を持ち、人間の才能資質の分析に活用されます。
つまり、十干を理解することで、自分自身や他者の本質がより深く見えてくるというわけです。
五本能と陰陽の関係
五行は、自然界と人間の本能を構成する…
木=守備本能
火=伝達本能
土=引力本脳
金=攻撃本能
水=習得本能
という五つのエネルギーを表します。
そして陰陽は、そのエネルギーの動きや方向性を違いを示します。
陰(-):遠心・拡散・希薄・冷え
陽(+):求心・収縮・濃密・熱
この陰陽の特性を五行に掛け合わせることで、自然界の10通りのパターン。すなわち『十干』が構成されるというわけです。
十干の一覧とその性質イメージ
それぞれの十干は、以下のように分類され、自然界の事象や人の行動傾向と深く結びついています。
五行 | 陰陽 | 十干 | 本能 | 自然界の 象徴 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
木 | 陽 | 甲 (こうぼく) | 守備本能 | 巨木 | 自立 |
陰 | 乙 (おつぼく) | 守備本能 | 草木 | 柔軟 | |
火 | 陽 | 丙 (へいか) | 伝達本能 | 太陽 | おおらか |
陰 | 丁 (ていか) | 伝達本能 | 灯火 | 繊細 | |
土 | 陽 | 戊 (ぼど) | 引力本能 | 山 | 普遍 |
陰 | 己 (きど) | 引力本能 | 平地 | 限定 | |
金 | 陽 | 庚 (こうきん) | 攻撃本能 | 岩石 | 行動力 |
陰 | 辛 (しんきん) | 攻撃本能 | 宝石 | 戦略性 | |
水 | 陽 | 壬 (じんすい) | 習得本脳 | 海 | 冒険心 |
陰 | 癸 (きすい) | 習得本脳 | 小川 | 研究心 |
たとえば、『甲(こうぼく)』は、空に向かってまっすぐ伸びる巨木のように、まっすぐで芯の強い性格を象徴します。
一方で、『乙(おつぼく)』は、草やツタのように環境に応じて柔軟に適応する性格を持っていると言えるでしょう。
このように、同じ木性でも陰陽によって、まったく異なる性格や行動様式が現れるのが十干の大きな魅力です。
十干は個性と宇宙をつながくコンパス
十干は、私たち一人ひとりの性格、行動パターン、本能の警告を象徴するシンボルです。
それは単なる性格分類にとどまらず、宇宙の法則と人間の営みをリンクさせる哲学的な道しるべでもあります。
陰陽と五行の組み合わせからなるこの10のエネルギーを理解することで、自分自身を見つめ直すきっかけとなり、より調和的に人生を設計していくヒントが得られるでしょう。
十干で空間世界を読み解く

十干は本能や行動傾向を読み解くカギ
十干は、単なる暦の記号だけではなく、『空間世界』を読み解くカギとして機能します。
それぞれの干(かん)は、五方位(東西南北中央)と精神的傾向(本能)に対応しており、人間の性格や行動傾向を立体的に読み解くコンパスとなります。
十干と五本脳と五方位の関係
陰陽五行説では、五行を方位と本脳として整理されていました。
木性(東)…守備本能(自分や仲間を守る)
火性(南)…伝達本能(想いを伝える)
土性(中央)…引力本能(愛情を引き寄せる)
金性(西)…攻撃本能(外へ働きかける)
水性(北)…習得本能(物事を学ぶ)
たとえば、木性の甲(こうぼく=陽)と乙(おつぼく=陰)は、同じ『守備的な性格の持ち主』ですが、どちらかというと、甲=自分自身を守る。乙=仲間を守る。というように、陰と陽でそれぞれの性格の違いがあります。
これらは、単なる性格の違いだけではなく、生まれ持った十干の違い(才能資質)と捉えることができます。
十干を読み解くことで才能資質がわかる
十干を読み解くことで、『その人がどの方向にエネルギーを発揮するか』『どの本脳が強く現れるか』が可視化されます。
つまり、十干とは”性格診断ツール”というようり、人間のエネルギーの向きと性質を示す座標なのです。
こういった視点を持つことで、自分自身の活かし方や他者との相性、さらには適職や配置のヒントまでが見えてくるでしょう。
十干はまさに、人間という存在を宇宙的な視点で読み解くカギなのです。
十干を覚えるコツ

十干に物語性をもたせる
十干は、『自然界のイメージ』と『才能資質』を紐づけて覚えることが大切です。
単に記号として暗記するのではなく、意味を物語性を持たせて理解すると、五行の知識が血肉となり応用しやすくなります。
十干と自然界のイメージと才能資質を紐づける
十干は、陰陽五行の思想に基づき、木火土金水の陰陽の性質をかけ合わせて生まれた10個の記号です。
記憶する際には、ただ漢字を読むのではなく、その背景にある『自然界のイメージ』や『行動パターン』までセットで覚えることがポイントです。
十干、陰陽、自然界イメージ、才能資質一覧
十干 | 陰陽 | 自然界のイメージ | 才能資質 |
---|---|---|---|
甲(こうぼく) | 陽の木 | 大木/御神木 | まっすぐ立つ自立型 |
乙(おつぼく) | 陰の木 | 蔦/草木 | しなやかな協調型 |
丙(へいか) | 陽の火 | 太陽 | 明るく発言 |
丁(ていか) | 陰の火 | ろうそく | 静かに発言 |
戊(ぼど) | 陽の土 | 山 | 包容力 |
己(きど) | 陰の土 | 畑 | 世話好き |
庚(こうきん) | 陽の金 | 岩/刀 | 一直線な突破力 |
辛(しんきん) | 陰の金 | 宝石 | 内に秘めた攻撃力 |
壬(じんすい) | 陽の水 | 海 | 冒険的な知性 |
癸(きすい) | 陰の水 | 雨 | 繊細な知性 |
特に『天空観測から誕生した十干10種の性質を図解。五惑星&五行×陰陽で空間エネルギーを読み解く3つのコツを公開自然界のイメージ』は、十干のイメージ化において非常に強力な手がかりとなります。
十干を使える知識にする
十干を『文字』や『記号』として覚えようとすると挫折しやすくなります。
でも『読み方』+『自然界のイメージ』+『才能資質』の三点を結びつけることで、それぞれの干に物語性をおびて頭に残ります。
十干は、あなたの本質を読み解くための宇宙的な言語です。
一つひとつの干に命を吹き込むように学べば、その知識は占いの枠を超え、生き方の軸として役立つでしょう。