自分の得意を知る準備 ― 理論編

「得意を活かした働き方をしたいけど、自分が何に向いているのかわからない…」

「好きなことを仕事にしたいけど、続かないかもしれない…」

そんな風に感じたことはありませんか?

実は、そうした悩みの答えは『今のあなたの外』にあるのではなく、生まれた時点ですでに内側にセットされているとしたら…

東洋思想の叡智『陰陽論』と『五行説』には、人が生まれながらにもった才能や資質、得意な行動スタイルが、五つの要素(木・火・土・金・水)と陰陽の組み合わせによって表されています

これを知ることで、あなたの中に眠る『自然体のままで結果が出やすい分野』を発見することができるでしょう

この第1章では、陰陽五行論の基本的な構造や考え方を丁寧に解説していきます。

占い的に読むのではなく、『得意×働き方=自分らしく働く』を見つける土台作りとして頂けると幸いです。

陰陽五行が示す本能の違いや人生を五つの行動スタイルに分類する知恵にふれることで、「自分はどう動けば効率的にエネルギーを発揮できるのか?」が明確になってきます。

ではまず、陰陽五行論とはどんな理論なのか?

その原点から一緒にみていきましょう。

1-1.陰陽五行論の基本

陰陽五行論(いんようごぎょうろん)とは、宇宙や人間のあらゆる現象を”たった5つの要素”で説明する、東洋独自の思想体系です。

そのルーツは、古代中国・春秋戦国時代(紀元前770~221年)にまでさかのぼります。

当時の賢者たちは、天文・気候・人間の体・社会の営みなど、すべてが一定のリズムと構造を持って動いていることに気が付きました。

その観察と経験の積み重ねが『陰陽論』と『五行説』という2つの柱となり、やがて統合されたんが『陰陽五行論』です。

陰陽とは?

陰陽論とは、世の中すべてが『陰』と『陽』=2つの相反する力のバランスで成り立っているという一極二元論(いちきょくにげんろん)をベースとした考え方です。

陰陽論

・陰=月・夜・静・内・女性的

・陽=太陽・昼・動・外・男性的

どちらか一方だけでは物事は成り立たず、陰があるから陽があり、陰陽が交わることで自然や人の営みは循環します。

たとえば『夜(陰)があるから朝(陽)のありがたさが感じられる』といった具合です。

五行とは?

五行論では、万物は『木・火・土・金・水』の5つのエネルギーからできているとされています。

それぞれの要素は独立して存在するのではなく、『生み出す関係(相生関係)』と『打ち消す関係(相剋関係)』の中で循環し、変化し続けています。

つまり、五行は『自然界のリズム』を象徴し、それを人間の性格や行動パターンに応用することで、”自分の才能の本質”を読み解く鍵となるのです。

相生関係(そうしょうかんけい)

・木生火(もくしょうか)→火は木が燃料となりよく燃える

・火生土(かしょうど)→土は火で燃やされて肥料となる

・土生金(どしょうきん)→金(宝石)は土(鉱山)の中で育まれる

・金生水(きんしょうすい)→水は金(鉱物)で生成され浄化される

・水生木(すいしょうもく)→木は水を補給することで成長する

相剋関係(そうこくかんけい)

・木剋土(もっこくど)→木は土から養分を吸い取る

・土剋水(どこくすい)→土は水を濁して泥水にする

・水剋火(すいこくか)→水は火の勢いを消す

・火剋金(かこくきん)→火は金を熱で溶かす

・金剋木(きんこくもく)→金(オノなど)は木を切り倒す

なぜ、才能診断に役立つのか?

陰陽五行論のすごいところは、算命学とくみあわせることによって、 人の個性や強みを”自然の原理”として捉えることができる点です。

現代では『強み診断』や『性格テスト』など数多くありますが、それらの多くは『人間中心』の枠組みによるものです。

ですが、陰陽五行論と算命学は、『自然と調和する人間』という広い視点から才能を捉えます。

・自分の才能はどの五行に属しているのか?
・その五行はどんな働き方をすると力を発揮するのか?
・苦手にみえる部分は、裏から見ればどんな資質なのか?

こうした問いに答えを出してくれるのが、陰陽五行の知恵です。

木性タイプの人は『自他を守ろうとするのが得意』。火性タイプの人は『発信力がある』など、行動パターンと本能の一致が、あなたの”続けられる才能”を見つけるヒントとなるでしょう。

1-2.球体思考とは?―短所を長所に変える東洋的思考法

あなたはこれまで、『ご自身の短所』に対してどう向き合ってきたでしょうか?

「飽きっぽいからダメだ…」
「優柔不断で損してばかり…」

そんなふうに、自分の弱みを”改善すべき欠点”として責めてきた方も多いのではないでしょうか?

しかし、東洋哲学には、欠点を逆から見ることで『才能のタネ』として活かす考え方があります。

それが『球体思考(きゅうたいしこう)』という考え方です。

直感的思考vs球体思考

西洋的な考え方は『良い/悪い』『成功/失敗』『正しい/間違っている』というように、物事を一方向の直線で評価する傾向があります。

一方で東洋の陰陽五行論では、すべてのものは”多面的”であり、光が当たる面と影になる面があるだけという考え方がベースになっています。

球体思考とは、1つの事象を多方面からとらえる立体的な見方です。

たとえば「飽きっぽい」という特徴も、別の角度から見れば「好奇心旺盛」「新しいことにすばやく対応できる」という才能としてみることもできます。

つまり、球体のように角度を変えることで、”短所”は”長所”にも転じるというわけです。

どちらも正しい

陰と陽、火と水、攻撃と守備…

一見すると相反するような性質も、球体思考を使えば『どちらかが間違っている』のではなく、『どちらも正しい』という立場に立つことができます。

たとえば、誰かと意見が衝突した時に、「あの人は間違っている」と決めつけるのではなく、「あの人にはあの人の立場がある」と認めることで、自分も相手も否定せずにすみます。

こうした柔軟な視点は、現代の人間関係やキャリア選択においても非常に重要な考え方と言えるでしょう。

欠点は才能の裏側

陰陽五行論は、まさに球体思考の実践ツールです。

どんな資質にも『裏と表』があります。

球体思考を身につければ、自分の中のネガティブに見える特徴も、環境や役割しだいで立派な”才能”として発揮できるようになるでしょう。

『あなたの短所は、まだ活かされていない才能』です。

これは球体思考が私たちに教えてくれる、大切なメッセージです。

自分のネガティブな面に悩んでいるときこそ。角度を変えて見てみましょう。

陰陽五行の知恵を通して、自分の”裏の顔”にこそ真の魅力が隠されているのかもしれません。

1-3.五行と方角の関係

五行と方角を結びつけたものを『平面五行』と呼びます。

平面五行は、十字線を用いることが基本とされており、これは地上の『東西南北と中央』に五方向に対応しています。

古代の天文学者たちは、観測可能な5つの惑星(木星、火星、土星、金星、水星)に着目し、これらを地上世界の5つの要素(木火土金水)と結びつけました。

人間も自然界の一部であるなら、この自然界の法則を読み解くことができれば、人間がなんのため生まれ、どう死んでいくのかを紐解くことができるのではないか?と考えたのです。

平面五行では、それぞれの方向と五行に、人間の5つの本能が割り当てられています。

五行五本脳方角
木性守備本脳東方
火性伝達本脳南方
土性引力本脳中央
金性攻撃本能西方
水性習得本脳北方
タテとヨコの関係

・北方から南方(タテ)は精神を表す

・東方から西方(ヨコ)は現実を表す

1-4.五本脳と才能パターン

私たちは誰しも「こう生きたい」「こうあると心地よい」と感じる自然な行動パターン=本脳を持っています。

陰陽五行では、木・火・土・金・水という5つのエネルギーにそれぞれ対応する『五本脳』があり、それがあなたの才能の方向性や得意な働き方を教えてくれるのです。